Netlify無料枠が深夜に枯渇した話と緊急移管
無料枠で運用するクラウドサービスは「いつか必ず枯渇する」前提で備える

あなたがNetlify無料プランでサイトを運用しているなら、月300creditの上限が突然訪れる可能性を知っておく必要があります。私の運用していたあるメディアサイトがこの状況になり、深夜に配信停止寸前まで追い込まれて、3時間でConoHa WINGへ緊急SFTP移管しました。この記事ではその夜の経緯、移管手順、そして「無料枠依存」のリスクへの考え方を残します。同じトラブルに見舞われた個人開発者の参考になればと思います。
枯渇に気づいた瞬間 — 75%消費警告メール
2026年5月初旬、私はNetlifyから「Build minutes usage 75%」というメールを受け取りました。当時はあまり深く考えず、「まあ来月リセットされるだろう」と放置していました。しかし4日後、別のメール「Build minutes used 100%、Builds will fail until next cycle」が届き、初めて事態の深刻さに気づきました。
そのメディアサイトは記事自動生成バッチが毎日新規記事をデプロイするフローで運用していたため、デプロイが止まると毎日の記事更新が完全に停止します。次の billing cycle のリセットまで残り 18日、その間サイト更新ができない状況は集客戦略上致命的です。
3時間で完了した緊急SFTP移管
その夜のうちに、ConoHa WING への移管を決断しました。WING にはマルチドメイン無制限プランを既に契約していたため、サーバー追加コストはゼロです。手順は以下のように進めました。
第一に、WING の管理画面で該当ドメインを追加し、無料独自SSLを有効化。これに 10分。第二に、DNS の A レコードを WING の IP に変更。Netlify から WING への DNS 切替で、TTL の関係で伝播待ち最大1時間。第三に、ローカルのデプロイスクリプト deployer.mjs を deployToNetlify から deployToWing に書き換え。WING は FTPS (port 21 + TLS) しか開いていないため、basic-ftp パッケージを使う実装に変更。これに 90分。第四に、テストデプロイで Coming Soon ページを送信、ブラウザで確認。これに 15分。最後に、本番記事を再デプロイ。これに 30分。
合計で約 3時間、深夜 1時から朝 4時までの作業でした。翌朝、該当サイトは WING 上で正常配信されており、自動デプロイバッチも WING 経由で動き続けるように修正完了。Netlify の枯渇は実害ゼロで乗り切れました。
無料枠依存はリスク、契約済みリソースを優先活用
この事件から得た最大の教訓は「無料枠依存は隠れたリスク」ということです。Netlifyは魅力的なサービスですが、無料プランの月300credit という制限は、頻繁にデプロイする運用 (毎日複数回の自動デプロイ) では1ヶ月持たないことがあります。
個人開発で契約済みのクラウドリソースがあるなら、新サイトもそこに統合するほうが運用は単純になります。私の場合、ConoHa WING のマルチドメイン無制限プランで、ai-pick.tech、prompts.ai-pick.tech、lab.ai-pick.tech、saas-diary.com の4サイトを並走できています。月コストは WING のプラン代だけです。
FTPS への切替で意外と困った点
Netlify は GitHub 連携で自動デプロイできる構成ですが、WING は SSH (port 22) が開いていないため SFTPS が使えず、FTPS (port 21 + TLS) が唯一の選択肢です。basic-ftp パッケージで実装すると、初心者には少し詰まる点がありました。
- secure: true で FTPS を有効化、secureOptions: { rejectUnauthorized: false } で証明書の厳密検証をスキップ
- uploadFromDir() は再帰的にアップロードするが、ローカルとリモートのパス対応に注意
- 同時接続数に制限があるため、並列アップロードでなく逐次アップロードが安全
これらを押さえれば、basic-ftp での FTPS デプロイは安定して動きます。私の実装では現在、3サイト並走で1日複数回のデプロイをエラーなくこなしています。
緊急時の判断軸 — 「即時復旧」を最優先する
クラウドサービスの突然停止に直面したとき、最初に考えるべきは「24時間以内に復旧できる代替手段は何か」です。今回の私の場合、Netflifyから WING への移管が最速ルートでした。新しい有料プランを契約する、別の無料サービスに登録する、自前サーバーを立てるなどの選択肢もありましたが、契約済み WING を使うのが最短で確実でした。
こうした緊急時に冷静に動ける準備として、日頃から「代替先の候補リスト」を頭の中に持っておくことが大事です。クラウドサービスは便利ですが、いざ止まったときに代替を持っているかどうかで、個人開発の事業継続性が決まります。